【S】春のウラオモテ。
○○、
気がつくと、しずかでさみしいばしょをさがしだす。
なんでだ。これは、もう特技の域だな。
出かけると、帰らなきゃいけないから嫌で、
会うと、別れなきゃいけないからいやだ。
たまに、駄々をこねてくる声が憎らしい。
「はぁ?」って言って責めて、突き落としたい。
春の効果は絶大で、
無駄に感傷的で困る。
ずっと街をふらついていたいし、
ずっと誰かと会っていたいし。
そんな気分にたまに襲撃されながら、
ちゃんと生きないといかんなあ。
でも、たまにはこんな気分でもいいかとか、
もうごちゃごちゃごちゃごちゃ。
だから、たぶんまた散歩するんだと思う。
生暖かい春の中をふらふらり。
この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ