メディアアート生活

美術館に作品を見に行かなくても、町中に作品は溢れている。話しかければその人の宇宙が始まる。

幼い頃から考えていることをそのまま言うと伝わらなかったけどそのまま伝えたらどうなるんだろうかとずっと思っていた。

必死に保ってきたバランスを、
一瞬でぶち壊したくなる。
そんな臨界点感謝デーが
ふいに訪れる。

こぼれないようにこぼれないように、
グラスの水が、
表面張力の水平線が、
ぷくーって盛り上がっていくのを、
グラスの横でテーブルに左手をついて、三角座りで、
おんなじ目線になって
にやにやしながら見ていたはずなのに、
(目とグラスが近い!)

右手に持ってる赤いコーヒーポットの、
細い注ぎ口からでる水が
ぎざぎざうにゃにゃじゃぼじゃぼ、って波打って、
音を立てないように(水面が揺れちゃうから。)

なめらかな曲線で、静かに体積を増やすように、
自制して自制して自制して自制して自制して
時には、一旦水を注ぐのをやめて、
水面を見つめたり
水の中で泳ぐ自分を想像したり、
あれ、



そこから一気に想像が妄想になって飛んでいって
下から見上げたら、水が青くて綺麗!!
青というより、そうだね。・・!水色。
もっとこまかくこまかくこの情景を伝えるとしたら、
アクアマリン色。
アクアマリン色の海。すきとおるブルー。
下から見上げたら太陽の光がキラキラ綺麗で、
さっきイルカたちが孤を描いて、安定しない加速度で
泳いでいたような気もする。たしか3匹。
くるくるくる。
夏はいいね。
サンゴ礁。黄色い小魚魚魚。
行ったことないよ。全部テレビで見ただけの想像をかき集めた、
きれいな海。
全部嘘だけど、完璧な海。
できあがりました。

そこにぞぉーんじゃぼじゃぼって、沈んで、下から空を見上げてる。
いろんな物理法則無視して、人体の不思議もこの際忘れて、
ゆっくり沈んでいってる。呼吸とかしてない。たぶん。

海って結局、こう、
まるい(両手で球体のジェスチャー)地球の表面に張り付く形で
層にこう、なっているから、
(ー場面転換。)

ミニチュア地球を頭のまんなかあたりにぷかぷか想像して、
今このへん、この海の層の下のあたり(指さす)に
上を向いて、
自転しながら、公転しながら。
浮いている。おっと、

それを考えるには宇宙のシーンにいかないといけないな。
まあいいや。月は今度使おう。(戻る)
ちいさいなぁ。
小さい小さい。
人ひとり。

図にしたら、シャープペンで、点ってつけただけでも
おこがましいほどに。
ちいさいちいさい。
そんなに人ひとり大きく面積とらないでしょ。シャープペンの点。
点に馳せる思い。その点はさっきまでの自分を表した点。
海の底に居る自分。ゆらゆらゆらゆら。

このあたりまでぶっ飛んで想像しないと
やってらんないこともある
あら残念 現実に戻ってきちゃった
一瞬で戻ってきちゃったね
本当にざんねん。

妄想の庭からテイクオフ。
滑走路フルに使って、飛び立って、初めて、
ここがキッチンのテーブルの横だったってことに気づく。
表面張力。そうだ。水を注いでいたんだっけ。
溢れないように。こぼれないように。
そうだ、赤いコーヒーポット。
ホーローで出来たやつ。
その注ぎ口が



。いや、
それもたとえ話展開するための妄想だったんだ。
頭の中で展開して行った末の
小道具のポット。
ポットなんてないよ。
持ってないよ。
赤いのなんて。

もどそうもどろう
現実に戻ろう
今回もあと少しだったのに
もうちょっとで大丈夫だったのに
水が溢れ出す前に
大きな金だらいに、なみなみ水を汲んで、
よたよた運んできて
半ばヤケになって、小さなグラスに大量の水を注ぎ込んだ。
ばしゃー
あたり一面水浸しになって、
当初の目的はもろくも崩れ去って、
水まみれになって、
結局悲しくなったのは自分だ。

ぶち壊したい。
全部悲しいせいにして
繊細な均衡をぶちこわしたい。

5mgずつ分銅を載せて、バランスをとっていた理科室に
突然インドから象を連れてきて、
はいよっ。って載せたい。
天秤が、がたーんってなって、
みんなびっくりするのをみて
腰に手をあてて、
ただ大笑いして、ばかみたいに笑って笑って笑って笑って、
「びっくりした!?」ってきいて、
さらに笑って、驚くほど笑顔のまま全部忘れたいのに、
周りの人は、静かにこういう。
台無しだよ。
そうかそんな目で対応するのか。
みんなこわい顔で笑ってくれない。
さぁーって、引いていって、
もうどうしようもなくなって、
ごめんごめん。私が悪かったよ。
ちょっとやりたくなっちゃったんだ。
象?大量の水?なんかばーっ、ってさ。
勢い?

象どこにいたんだろうね。
水どこに貯めてたんだろうね。

きっと気づかないけれど、隠し持ってたんだと思う。
それが、ちょっとさ、こう、気が緩んだ隙に、
疲れててさ、ふっと出てきちゃったんだよ。
だからさ。だから。

バカヤロウザンネンデシタ。
もうだれもいないよ。
誰も聞いてくれないよ。帰っちゃったよ。
りゆうなんてかんけいないよ。そんなことはなしてもいまさらいみないよ。
ごめんごめんごめんごめん

全員帰った後、
めんどくさくなって床に寝転がって、
水に濡れて、とてもじゃないけど浮くほど水はないんだけれど、
もうどうでもいいやって。おもって、
ちょっと放心して、
ちょっと後悔して、
いや、後悔するなら最初からやるなっていう話だ
後悔チャンネルはすぐザッピングして、はい次。
ちょっと自問自答して、
ちょっと消えたくなって
どうしようもないからどうでもいいやって思って、
スイッチを反対側にカチッって押して、

カチッ。

床の掃除を始めた。
すごく冷静な気持ち。
めそめそすればいいのに。
床を掃除するときはいつも静かな気持ちだ。
メーターはまんなか。

My Iron Lungの2分過ぎたあたりみたいに、
突然気分が変わって。
きっとだれもついてこれないだろうし、
ついてこようとしたら、
きっとタクシーの後ろにスケボーで掴まったときみたいな、
その上、前から強風が吹いてて、
でもタクシーの運転手はどこの国の人かわからないけど運転粗くて、
右とか左とか左とか右とか曲って、
クラクションもずっと鳴りっぱなしドップラーで、

ついてきたら、そんなスケボーの人みたいに傷だらけになる。
それでもついてきてとは言えないでしょ。

だったら

全部壊して笑って、冷静に次の日電車に乗って仕事に行くような。
そんな生き方はひどい人間でしょうか。
もうどうでもいいやっていってるのに、
結局、誰かに甘えて、調子にのって、
しでかして、もうどうでもいいやって。
生産性のないリサイクル。
でも今回はもうちょっとだったんだけどな。
もうちょっともうちょっと。
感じなくなるんじゃなくて、
ちゃんと感じて、嘘じゃなくて受け入れたい。
いろんなかなしいこと。かなしいことと仲良くなって、
「かなしい」と一緒にいても悲しくなくなればきっと大丈夫。

そうおもって0:00を迎えた。
結局何も解決していない。
今夜はそういう日。
My Iron Lungをエンドレスで聴く日。